和の心にて候

いきさつ

 

最初にこの企画を聞いた時、南半球にある異国の文化であるディジュリドゥと日本文化の茶事が

なぜ融合するのか。とても疑問に感じていた。

その疑問は本コンサートの演出家である太田新之介氏から、ほんの少しお話を伺った途端、

至極自然に消えていった。

「異文化であっても共通する精神、心」

太田氏は神社や茶室などの建築を手懸ける、国内でも稀有な「木の建築家」である。

ただ建てるのではない。 縄文より引継がれている、日本文化の本質を深く理解したうえで建てる。

また、建築を通じて500年先にも大切な日本文化を継承すべく活動をしている人物である。

氏の著書に、「茶事をせぬものに茶室は建てられぬ。」という行がある。

この言葉の通り、氏は自ら建てた茶室で150回以上の茶事を行ってきた茶人でもある。

「茶事を行う茶の湯は、自然気象に始まり、禅の宗教観、能の演劇性、建築や庭園、美術工芸、詩歌、

作法礼法、食、花、香、能楽、服飾、音楽などに至るまで、人間の生存にかかわる万般にまでおよん

でいます」と氏は本演出の基礎となる茶事について説明している。

この太田氏とKNOBを引き合わせた方が、KNOBが幼少より人生の師として仰いできた、今は亡き文人

小野田雪堂氏である。

KNOBの雪堂氏への想いは、本企画を進める中でも、まるで彼の傍に雪堂氏が居られるかのように錯

覚する程に強いものであった。

この数年KNOBの思い悩んでいたこと。。。

「ディジュリドゥはオーストラリア先住民であるアボリジニの人々が何万年もの間吹いてきた聖なる楽器。

どこまでいっても、本質は日本人であり、アボリジニにはなれない。」

書道の師範でもあり、和の心を重んじるKNOBにとっては深い悩みであったに違いない。

この答えを持っていたのが他ならぬ雪堂氏、そして太田氏であったと聞く。

「人間には生まれ育った環境、文化がある、言葉がある。日本人としてのディジュリドゥを吹けばいい。

同じ人間。言葉、文化は違えど、共通する精神、心がある。」

この答えこそが、本企画の始まりであり本質であると私は理解している。

この想いを自身のものにしたKNOBが紡ぐ音からは、それまでにも増して「彼自身の心」が感じられる

ようになった。

そうして迎える11月10日。

日本で最初の木造のコンサートホールである重要文化財、奏楽堂。

そこで日本文化に精通した建築家の能や茶事の構成による演出で、和の心を持つディジュリドゥ奏者が

演じる。演出、演者、そして会場と全てが自然の流れで交わっているように思える。

きっと、天国から雪堂氏も、奏楽堂で活躍していた山田耕作氏、滝廉太郎氏、三浦環氏などの先人と共

にこのコンサートを見守っていることであろう。

異なる文化が共鳴しあい、「共通する精神、心」を体感できること、そしてなによりKNOBの新たな高みへ

の第一歩の場に立会えることを、ファンの一人としてとても幸せに思う。


                           (「和の心にて候」実行委員会 鈴木大輔)



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人と人との不思議な縁、心の交流があり、奏楽堂ライブへと繋がりました。

ひとりでも多くのご来場をお待ちしています。

         


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