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師、小野田雪堂
小野田雪堂先生と僕との関係について聞きたいという声がありましたので、 少し書きたいと思います。
僕が雪堂先生に出会ったのは、まだやんちゃな子供のころです。 母親や叔母が先生の弟子で六本木の家に教室を開いていました。 僕はその時には、叔母の一番弟子でした。 年に一度の展覧会などで先生にお会いしました。 やさしく笑うその笑顔が大好きでした。 その当時、遊ぶことが第一で、仲のいい友達と遊ぶ合間にただ筆を持っていました。 先生の息子さんのひとしさんは釣りが大好きだった僕のために、ルアーを造ってくれたり、 兄が欲しかった僕は自分の兄のように思っていました。 中学生になり、踊りに夢中になり、芸能界で活動するようになっても書の教室には たまに顔を出していました。 だんだん仕事が忙しくなり、自分に余裕がなくなり、自信がなくなり悩んでいた時、 いつものように元気な感じで小野田先生に書を見てもらいに行きました。 字を見るなり先生は、のぶ なんかあったか?全然元気がないよ 大丈夫か? と僕におっしゃったんです。 僕は、いえ ばりばり元気ですよと、言って失礼したんですが、今にも涙がこぼれそうでした。 この 小野田雪堂という人間には嘘がつけない。小野田雪堂の書、雪堂という人間をもっと もっと知りたい。 その後 真剣に書に取り組むようになりました。 考えてみれば、僕のそばにはいつも書があり、小野田先生の存在がありました。 書がなければ、書を通じて教えられることがなければ、今吹いているディジュリドゥに 取り組んでいなかったかもしれません。 そして 2002年に師範となりました。 そのときには、大好きだった兄だと思っていた ひとしさんは、いませんでした。 小野田先生の息子さんであるひとしさんは、若いときに小野田先生に反発し、書の道から 遠ざかりました。でもある時期から書を真剣にはじめ、誰より書家 小野田雪堂のことを考え 支えていました。 35年前、小野田先生が作られた書藝新潮の中で、若い僕達のリーダーでした。 しかし、志し半ばにして癌でこの世を去られました。 僕は悲しくて悲しくて、身体中の水分が全部目からでてしまうんじゃないかというくらい 涙がこぼれました。 でもそれは、小野田先生御夫妻の深い深い悲しみに比べれば、、、
雪堂先生は独学で書を学ばれました。 戦後、物もお金もないときに、神田の古本屋さんに毎日毎日かよい、立ち読みで勉強してい たそうです。 そのあまりの真剣な姿に、本屋の御主人が本をプレゼントしてくださったそうです。 そして、日展など書道会の真只中に身を置き、様々な方が、先生 先生とあがめる、 持ち上 げられた世界と、自分との中にギャップを感じ、雪堂先生が友人と始められたのが 書藝新潮社です。
2004年4月18日に その書藝新潮社の35周年と、小野田雪堂書画集の出版記念パーティーが 恵比寿のウェスティンホテルで行われました。 このパーティーで 小野田先生にやっていただきたいなと思うことを相談しました。 そのとき先生は、のぶ 僕は目立たなくていいんだよ。すみっこの方にいるだけでいいんだ。 のぶ 森で老いた木は倒れるだろう、でもそこから若い芽若い木が育っていくんだ、、、 僕よりも若い人たちが目立たなくちゃって、あの素敵な笑顔でおっしゃる小野田先生が、一瞬涙で 見えなくなりました。 世の中、自分が自分がという人は沢山いる。特に今回は完全に小野田雪堂が主役の舞台。 そんな場で、いや僕ははしっこのほうがいいんだ、なんておっしゃる。 今まで全力で、全身全霊で走って来て、自分自身と戦ってきた雪堂先生。深い悲しみや、本当の 喜び、 幸せを感じることのできる人間だからこそ言える言葉。小野田雪堂という人間の深さと品格、 愛を感じました。 僕がみなさんに知ってもらいたいのは、同じ書道会の師匠だからじゃない。 もし、書をやっていなくても、他の書の団体に入っていたとしても、僕は小野田雪堂という人間が 大好きになっていたはずだ。
そして周りにいる人たちも、本当に素敵な人たちばかりです。 北鎌倉 雪堂美術館。観音開きの雪堂門 、アプローチそこに植えられている、奥様である芝雪先生 の芝雪梅。そしてなくなられた御長男の木。僕らが兄のように思って慕っていた、ひとしさんの木、、、 門をつくられたのは、お寺などの伽藍建築茶室を手掛ける、素晴らしい職人の棟梁、、、
僕は小野田雪堂という人間を心底、尊敬しています。。 雪堂先生の生き方そのものの書に出会える唯一の場所が北鎌倉雪堂美術館です。 ひとりでも多くの方に、小野田雪堂に触れていただけたらと思います。 ひとりの願いが 万人の願いに ひとりの祈りが 万人の祈りに、、、
合掌 中村亘利 KNOB
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