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日出るツアー 4
ツアー最終日 僕達はある人のお宅におじゃますることになっていた そのかたは 伊賀上野で 古伊賀と呼ばれている焼き物を作られている 浅尾憲平さんだ 伊賀の焼き物は 純粋抽象芸術といわれ 茶陶の最高峰と言われてきた 特に 古伊賀と言われる桃山期のものは我が国の中では 白眉であり 後世の人々が到達できない領域のものとなっていたそうだ 実は 僕の書を通じての兄貴分で今回のツアーも一緒の税理士さんである椎橋兄貴から 師範祝いでいただいたのが 浅尾憲平さんの水滴入れだった それを作った憲平さんに会えるのを楽しみにしていたが 僕をよりいっそうワクワクさせたのは 新之介さんのこの一言だった 「のぶ 憲平さんは 日本のアボリジニだよ」 車道から 少し入り 畑をぬけ 木々と土の匂いのする林の向こうに 憲平さんのお宅はあった 麦わら帽子をかぶった方が そこにいた 浅尾憲平さんだ 「ようこそ 僕は口下手で自分からしゃべったり出来ないから みなさんどんどん質問してください」 なんて 言ってたけど 質問する隙間がないほど しゃべっていたなぁ があっーって火で焼くもんだから 髪の毛なんかすっかり抜けた なんてことまで、、、 そんな憲平さんの後ろにあったのは 恐ろしい数の高く積まれた薪、薪、薪、、、 すごい 家一軒分くらい余裕である 100年もののクスノキやら、、、そのスケールはすごい そして 初めて見た上り窯 ものすごい迫力だ 土も日本中の土を研究し 土を食べて 厳選された土を使っていると言う 焼く時には 四昼夜ぶっとおしで 火をくべるという 窯の中の火が水色になるまで 温度をあげるのは容易ではないらしい もう 儀式に近い 鳥肌が立った そして その芸術に 芸術なんてレベルを遥かに超えた 作り、焼くという行為に対する情熱 生き様 命がけの姿に 圧倒されて そして そんな姿にうれしくて 涙が流れそうになった 感動した いわゆる 賞をとるために作品を作って出したり 人に評価基準を置いて こうみられたいだとか そういうものじゃない 自分はこうなんだっていう生々しい本当のプライドと生きざまを感じた 陶芸の世界そういうところとは 孤立無縁で ただ 自分の満足できる焼き物が作りたい その一心で 30年以上 土と火と共に生きてきた そして 最近ようやく 火や土と対話ができるようになったという そして そばには共に生きてきた 奥様 自然 僕が大好きな岡本太郎、棟方志功、、、 同じエネルギーとオーラを感じた ただ 人間だった 僕はうれしかった そのあと 沢山の憲平さんの分身である作品のある部屋へと通された そこで 憲平さんが大切に 自分でも奇跡的な体験をしたという 水指しを持ってきて見せてくれた 僕は釘付けになった まるで その陶器の表面に生きた苔が生えているような とにかく 生きているって思った 30分以上 僕は眺めていた 自然をみているような なんか ただそこに在るっていうような 圧倒的な存在感だった これは 浅尾憲平って人間だからこそ 造りだせたものだって思った 本当にエネルギーをもらった 実は 僕はそのあと その空間で演奏することになっていた たててくださったお茶を憲平さんの造られた 陶器でいただき しばらくすると 突然ざぁーっと雨が降ってきた かんかんに太陽が照っていたのに、、、、 まぁディジュには湿気があったほうがいいから よかったななんて思ったけど かなり強い雨なので その音がすごくてね こんな中で演奏するのもいいかな なんて思っていたら 突然 嘘のように雨は止んだ 僕の頭に何年も昔のことがフラッシュバックした それは EARTHRISEってユニットを作って活動していた時 平塚の海で 夏にライブがあったんだ でも そのときに台風が来ていて 海は大荒れだった 外だったし もし雨が降ってきて 機材が濡れたら まずいってことで 室内のどこかでやりましょうって イベンターの方が言ってきた でも僕らはいちかばちか外でやることに決めた 雨が降ってきたらおしまいだった 僕は祈るように 吹いた みんなも同じだった 雨は降ってこなかった それどころか 僕らが演奏している 場所の上だけ 灰色の分厚い雲が円くよけ 空さえ見えていた なんか とてつもない存在を感じた 凄い体験だった そのときのことを思い出してしまったんだ そして 僕は尊敬するみなさんの前で 木に息を吹き込むことになった 僕は とてもリラックスしていた 音が 自然に次から次へと変化していった そして 聞いてくれている 憲平さんや 新之介さん、、、みなさんが一緒に演奏してくれているような 不思議な気持ちになった 一体感を感じたんだ この場で 演奏できたことを幸せに思った 演奏を終えた僕に 憲平さんは ディジュリドゥを優しく撫でながら 僕に言った これは すごいね 土の音だな って 実は ここに到着して ある人が 憲平さんに質問していた 私は陶芸の知識がないから どう見たらいいのか わからないんですけどって 憲平さんは言った 知識なんて なんにもいらない ただ あなたが見たままでいいって 感じたままでいいんだよって そして 憲平さんは続けて言った 「ある医者のひとが 僕の作品を見てね こう言ったんだよ あなたの焼き物は健康だねって それが僕はうれしかった」って その人その人 みんな本物なんだよって 自信を持って どんなときも自分であればいいんだって 30年という時間 土を探り 土や火に思いを込め共に 全力で生きてきた憲平さんから出てきた 土の音だなっていう この言葉 これは僕の一生の宝物となった 本当に本当に 貴重な体験の連続のツアーだった 実は まだ 話していない 新之介さんや 棟梁 太田社中のみなさんと ディジュリドゥで セッションしたことがあるんだけど それは いつか ライブで見る機会が あると思います 生きているって 楽しいね いつ どんな出会いがあるかわからない 感動があるかわからない そうそう 憲平さんのところには 鶏くんがいてね 帰り際に ばったり遭遇したんだけど 憲平さんが焼いた陶器で 飯を食ってたんだ なんか いいな
浅尾憲平作品 小野田雪堂 太田新之介 合作書画ほか ご覧になりたい方は ギャラリー珎玄齋まで 終わり |
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