てんとうむしとの出会い

 

噴火口での撮影の翌日は、三原山裏砂漠での撮影でした。

何箇所か車で移動しながら撮影をしていたのですが、ある場所に着いて休憩していた時に、

僕の足元に一匹のてんとうむしがいるのに気がつきました。三原山一帯に着いてから、あま

り生きたものを見掛けなかったので、監督にてんとうむしです!と伝え、めずらしいねぇと会話

したことを憶えています。その場にてんとうむしは放して、また車で移動し、砂漠の山の斜面で

撮影していた時、突然、監督が「何か、小さな生き物はいないかな?うーん、てんとうむしとか」

しばらく探していましたが、生命の気配もありませんでした。が、てんとうむしがいたのです。

さっきいた、てんとうむしと同じかはわかりませんが、みつかりました、、、

真っ黒のディジュリドゥの上に、てんとうむしをそっと置きました。僕が吹いていて振動する木か

ら逃げることなく、僕の顔のほうにどんどん近付いてきました。そして、僕の指にそっと触れて、

てんとうむしは飛んでいったのです、、、

すべての撮影が終り、大島を離れる日の朝、監督から少しお話を聴かせてくださいと言われ、

ホテルの監督の部屋でインタビューの音声だけを録音しました。その時には、僕がディジュリ

ドゥに出会った時の話しや、一生をディジュリドゥと共に生きることを決定的にした夢の話しな

どをしました。そして監督からこんな質問がでました。

「KN0Bさんはディジュリドゥを吹いている時、何かのためとか、そういうのはありますか?」

「もちろん、平和を願ったりそういうことはありますが、、、昨日、てんとうむしがいて、ディジュ

リドゥの上を、一生懸命歩くてんとうむしに、そのひとつのいのちのためだけに吹いた時間が、

僕にはとっても印象的で、そういうことが、とても大切なことなんじゃないかなって思うんです」

こう答えました、、、

今でも、あの瞬間を憶えています。生命がないような、過酷にも思える環境の中、出会えたひ

とつのいのち。ディジュリドゥの木の響きを小さないのちと分かち合えた瞬間だった。僕はこれ

からも小さな出会い、その瞬間にしかない出会いを大切に感謝しながらあの木を吹かせてい

ただきたいと思っています。

 


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